割引率という魔法の数字【グロービスMBA集中講義 [実況]ファイナンス教室③】事業はもちろん、市場経済では何でもプライスがつく
こんにちは、ペンギン男です🐧
どの分野も専門性を極めると、なかなかに大変なもの。しかし、このグロービスさんのMBAシリーズは、とにかく「整理」されていることでは、群を抜くのではないでしょうか。特に、ファイナンスと会計の分野で、そう感じます。ビギナー➕αのナレッジをお持ちの方が想定読者だと思いますが、見事に、その狙いは当たっていると思います。本書↓も同様。
出典はアマゾンさん。
前回の記事↓
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【目次】
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(ページネーションはkindleでの表記に従います)
割引率をどう見るのか
割引率は恣意的な側面があります
前回の記事では、現在価値という考え方が支持されているのに比べて、そのコアとなる考え方の割引率が、かなり最適なことに触れました。
No.349
割引率が高ければ、現在の価値は小さくなりますし、割引率が低ければ、現在の価値はより大きくなります
そうなんです。この「企業価値」を決める、客観的そして公平であるべき数値を決めるためのコアの数値「割引率」は、結構、恣意的なのです💦
割引率の中身
No.354
割引率はリスクの大きさで決まる
そうなんです。このリスク、すなわち、危なっかしさがポイントなんです。この「リスク」というのはファイナンスでかなり重要視されるコンセプトで、定義もかなり多岐にわたっていました。ここでは次のように考えています。
No.360
リスクは、まず最初は、「お金を預けているために、そのお金を取り出せない不自由さ」と「もらえるリターンのぶれやすさ」(中略)前者をリスクフリーレート(%)、後者をマーケットリスクプレミアム(%)と呼びます
リスクフリーレート
リスクフリーとは
この考え方は、慣れるのにすこし時間かからかもしれません。「リスクフリー」、すなわち、リスクがなくても、お金につく値段です。
国債など
ですので、アメリカや日本といった先進国の国債の数値が採用されるべきという考え方があります。
国債は国の借金のことで、その国の信用度をはかる指標です。もちろん、そうした先進国でさえ、まったくリスクがない(リスクフリー)はずはないのですが、信用度という意味では、市場経済では最高なので、リスクフリーと見なす、くらいのニュアンスです。
No.368
リスクフリーレートとは、非常にリスクの小さい小さい資産が生み出すリターンの率のことです。例えば、国債などはその期日までにリターンが得られるのはほぼ確実で、日本の国債であれば、日本という国が倒産しない限り、期日になれば元本は返済されます。
ちなみに、どの程度の水準かといえば、
No.375
10年満期の(日本)国債の利回りは、年率で約1.0%程度(2010年9月現在)です
もちろん、現在はもっと低金利。
2019年9月18日午前中で、なんと「△1.5%」↓
そう、ゼロ以下なんですね。
ちなみに、これも結構変化します。しかも国によって異なり、インド国債の10年物だと、2019年9月18日午前の段階で「6.728%」↓
企業価値を決めるコアの数値たる割引率の、中身であるリスクフリーレート。そのリスクフリーレートの根拠たる国債の金利水準。金融家の方が注目するのも分かりますね。
マーケットリスクプレミアム
これこそ、一般にイメージされている「リスク」ですね。リスクが大きいと、その分だけ金利に上乗せして、リスクが小さいと、金利も低くて大丈夫という考え方です。
No.382
マーケットリスクプレミアムは、「リスクフリーレート以上のリスクを取った時に、上乗せが期待されるリターン」のこと
ちゃんとお金が返ってくるかどうかというリスクをとるのだから、その危なっかしさに応じて決まるもの。この数値は割引率に反映されるものですが、信用がない(=リスクが高い)と担保を多くとるというのも、リスク分を貸し手の取り分に上乗せするというスタンスと似たようなものか、と思います。
No.384
では、それはどのように判断するのか(中略)一例としては、その業界のリターンの平均値を参考にしつつ、それに各自の考え方を勘案して決めていく
具体的には
No.384
電力系の事業ならマーケットリスクプレミアムは3%、IT系の事業なら10%と言った大まかな平均値があるとして、それをもとに各自が「業界平均的な事業よりは安全だろう」「業界標準よりもちょっとリスキーなので多めに」というふうにリスクを見積もって調整
ちなみに、業界別のリターンの平均値なんて、なかなか、その辺りには転がっていないのが一般的かと思います。そういうデータ取得に特化した会社か、沢山の業界との取引のある銀行さんあたりが内部データとして持っているくらいでしょうか。
そして
No.389
リスクフリーレートはおおよそのレベルが決まっているため、さほど割引率に大きな変化を与えません。一方で、マーケットプレミアムリスクの設定次第では、大きく割引率が変わってくるのです
まとめ
- 企業価値を算定するには、割引率を使う
- 割引率はリスクフリーレートとマーケットプレミアムリスクから成る
- リスクフリーレートは日本国債など安全資産のレート
- マーケットプレミアムリスクは、各自でかなりさじ加減のできるレート
- なので、マーケットプレミアムリスクの設定の仕方次第で、割引率、ひいては企業価値が大きく変化
また、次回。
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